事業が順調でも会社が潰れる理由(前編)
~意外と身近な会社の倒産~

業績がどれだけ良くても、会社は潰れる事があります。しかし、多くの経営者は、業績が良ければ会社は安泰だと考えてしまいがちです。黒字でも会社が潰れる原因を抜け漏れなく理解し、自社の対策に繋げて下さい。

多くの経営者は、自社を少しでも良くする為の努力を惜しみません。しかし、その意識は、自社の業績(主に、売上や利益)を改善する事に向いており、その土台となる「自社が潰れない為の対策」については手薄となっているケースが多く見受けられます。

また、多くの経営者は、「業績さえ良くすれば、自社が潰れるはずがない」と考えています。または、知識としては、そうでない事を知っていても、日頃の事業運営においては、それを忘れてしまっている(軽視している)ケースが多く見られます。

しかし、多くの会社にとって、実は、「会社が潰れる」という事は非常に身近な事なのです。そして、それを防ぐ為の対策が十分に出来ていない会社は多いのです。

この記事では、「なぜ、業績が良くても会社は潰れる事があるのか」というテーマについて紹介させて頂きます。是非、自社の体制の見直しに繋げて頂きたいと思います。

会社が潰れるという事は意外に身近です

突然ですが、皆様の会社は、倒産の危機に直面していらっしゃいますでしょうか。

おそらく、多くの読者の方は、「当面、自社はそういった危機とは無縁である」とお感じではないでしょうか。そうであれば、以下の質問について考えて頂いた上で、この記事を読み進めて頂きたいと思います。
なぜ、自社は、「当面の間、潰れない」と言えるのでしょうか
いかがでしょうか。

ここで重要な事は、この問いかけについて、
自社の売上は伸びているから
自社は黒字だから
自社は赤字転落する予定がないから

といった、業績面を理由とした回答をされた場合、「その認識は非常に危険である」という事なのです。

そして、自社が潰れない為の対策が不十分である可能性は高いでしょう。そのような回答をされた方は、特に注意深く、この続きをお読み下さい。

また、他にも、
資産が沢山あるから
金融機関との関係が良好だから

などの答えについても、それだけでは十分な理由にならない事が殆どです。

業績が良くても(黒字でも)会社は潰れる

実は、
倒産した企業の半数以上は赤字ではなかった
という調査結果があります(東京商工リサーチが2015年に発表した調査など)。

すなわち、
業績が良くても(黒字でも)、会社は潰れる事がある
のです。

倒産企業について詳しい方にとっては常識だと思いますが、「黒字(好業績)なら自社は潰れない」と信じておられた方からすると、驚愕の事実かもしれません。

そして、この事実だけみても、「自社は潰れない(自社は大丈夫)」と自信を持って言う事の難しさを想像して頂けるのではないかと思います。では、なぜ黒字でも(好業績でも)会社が潰れる事があるのでしょうか。まず、この点を確認していきたいと思います。

(ご参考)
なお、この記事では、粉飾決算をしていたようなケースは取り扱いません。その他の法令違反なども同様です。それらの状況においては、検討の前提が大きく異なります。

業績が良くても(黒字でも)会社が潰れる事がある理由

黒字でも会社が潰れる事がある理由は、大きく2つあります。

まず、一点目は、
「業績が良い(黒字)という事」と、「現金があるという事」は、同じではない
という理由によります。

「業績」と「現金」という2つの要素の関係について、しっかりと考えたことがない方もいらっしゃるでしょう。しかし、この2つの要素は、全く違う要素なのです。

この為、業績を見ている限り、全く問題ない企業であっても、現金が不足するという事態は発生するのです。

業績が良くても(黒字でも)現金が不足すると会社は潰れます

勿論、現金がなくなると、仕入先に支払も出来ず、従業員に給料も払えず、会社は潰れます。

この為、業績が良くても(黒字でも)、潰れるという事態は発生するのです。

そして、好業績で急成長中の企業が、この罠にはまり、資金ショートしてしまう(必要な資金が自社に無い状態になる)事は現実に発生しています。

ただし、この失敗を引き起こす原因については、簿記や経理を勉強した経験のある方にとっては、理論的には学習済の内容であるはずです。しかし、「勉強したはずの事であっても、それを経営の実務で活用出来るかどうかは別問題である」という事なのでしょう。

会計上の利益があっても会社が潰れる例

黒字でも現金が不足して、会社が潰れてしまう事がある仕組みを詳しくみていきましょう。

まず、先ほどの
「業績が良い(黒字)という事」と、「現金があるという事」は、同じではない
という理由は、少し難しく言い換えると、
「会計上で利益が残っている(収益で費用が賄えている)という事」と、「現金が足りている(現金不足にならない)という事」は、同じではない
という事になります。

こうした事態の例を、いくつか挙げてみます。

例1:
昨年度買ったものの支払が今年度だった。その分の費用計上(現金支払以外の処理)は昨年度終わっており、今年度は黒字だった。しかし、現金は不足した。
例2:
商品を仕入れたが、まだ売れていない。しかし、仕入の支払期日は来てしまった。まだ売れていないので業績は何も変動しておらず、今年度は黒字である。しかし、現金が足りない。
例3:
売上が順調に伸びているので、仕入も合わせて増やしていった。在庫も溜まらず売れていき、業績も堅調である。しかし、なぜか仕入の支払が出来なくなった。

経理に少しでも詳しい方にとっては当然と思えるような例ばかりだったかもしれません。しかし、「自社においては、こうした事態は発生しない」と自信を持って言える内容ばかりであったでしょうか。

(ご参考)
例3あたりになると、理屈が解っている人が経営管理(経理作業)をしていても、時々、現実に発生するケースになります。それ位、理論的には当たり前の事であっても、実際に防止するのは難しい内容と言えるでしょう。

業績管理とは別に会社を潰さない為の対策が必要です

改めて、「業績が良くても(黒字でも)、会社は潰れる事がある理由」の一点目について、まとめますと、
「業績」や「黒字(会計上の利益)・赤字(会計上の損失)」と、
「現金の増減」は、
関係はあるが、同じではない為に、
業績が良くても(黒字でも)会社は潰れる事がある

という事になります。

ですから、自社の業績が良いからと経営者が安心していると、現金が不足して会社が潰れる事があるのです。特に、商売が伸びていて安心している時に、この落とし穴にはまらないように注意する必要があります。

会社を潰さない為には、業績管理(売上や利益の管理)の為のものとは別に、対策を用意する必要があるのです。

自社を潰さない為の行動とは

特に、先ほどの「黒字でも現金が不足する例」の「現金が足りなくなる理由」にピンと来なかった経営者の方は、相当に注意して下さい。経営者が必要性を感じていない業務は、社内で十分には行われていない可能性があります。

この記事で取り上げたような問題を発生させない為の対策が取れているかどうか、早急に確認する事をお勧めします。もし、社内だけで十分な検討が出来ないのであれば、外部の専門家を活用して対策する事も検討して下さい。

この記事の後編では、「業績が良くても(黒字でも)、会社は潰れる事がある理由」の二点目について紹介します。

この連載では、関連記事にて、こうした問題への対策についても紹介させて頂いております。宜しければ、それらの記事もご一読下さい。

なお、当社では、様々なビジネスコンサルティングに関するサービスの一環として、こうした「事業継続のリスクに関する分析や対策」についても支援させて頂いております。