資金ショートしない為の対策(後編)
~自社の資金繰り体制を評価する~

自社の資金繰りのレベルを理解していますか。資金ショートを防ぐ為には、資金繰りに関する業務を高い水準で行う必要があります。この機会に自社の資金繰りをチェックして下さい。

会社を潰さない為には、資金ショートを避けなければなりません。そして、その為には、自社の現金(資金)の収支予測をしっかりと行う事が大事です。この記事では、この作業の事を、一般的な呼び方に合わせて「資金繰り」と呼ぶ事にします。

ただし、「資金繰り」と言っても、その言葉が指す業務の内容や水準は様々です。しかし、経営者の多くは、「自社では資金繰り業務を行っている」と聞くと、それ以上には深く考えません。そして、資金繰り業務の水準が低かった為に、会社が潰れてしまう事があります。

この記事では、十分な水準の「資金繰り」を行う為には、「どのような体制が求められるのか」というテーマについて取り上げ、自社の資金繰り体制についてチェックして頂く為の情報を提供します。是非、この機会に自社の業務の見直しを行ってみて下さい。

十分な水準の資金繰り体制の為に情報入手の観点から求められるもの

では、自社の資金ショートを防げるレベルの「資金繰り」、すなわち、「日々の現金予測(管理)」を実現する為の体制には、どのような事が求められるのでしょうか。

まず、予測のベースとなる情報が担当者に集まる必要があります。情報が欠けていては、正確な予測は出来ません。

この為、
資金繰りの担当者が、現金の増減に繋がる要素を全て(漏れなく)把握出来ている
必要があります。

そして、これを実現させる為には、
資金繰りの担当者が、過去の結果として発生した出費や入金の情報を把握する
という事だけではなく、
資金繰りの担当者が、会社(事業)が今後行う行動によって発生する現金の動きを予想し、資金予測に反映させる
という業務を行う事が求められます。

十分な水準の資金繰り体制の為にリスク評価の観点から求められるもの

入金(現金回収)の予測に関しては、更に難しい業務が必要となります。

入金の予測の為には、「予定している入金が減額となるリスク」を踏まえる必要があるのです。

そして、その為には、
資金繰りの担当者が、入金が減額となる個々のリスクについて評価する
という業務を行う必要があります。

勿論、これは、資金繰りの担当者自身が、全ての入金先について熟知する必要がある事までは意味しません。しかし、入金先の担当者と十分なコミュニケーションを取ったり、必要に応じて、相手の会社の経営状態について分析したりする必要はあるでしょう。

また、多くの場合、資金繰りの担当者は、会社の商売全体について見えている必要があります。各取引の背後にあるリスクについて分析する為には、その取引を十分に理解する事が必要です。

資金繰り体制を支える担当者に求められる能力

既にお気づきかもしれませんが、これらの作業は、決して容易なものではありません。

まず、担当者の「能力」という問題があります。

先ほど挙げた通り、資金繰りの担当者には、
収集した情報を現金の増減に結びつける
個々の入金のリスク評価を行う

といった業務を行う事が求められます。

もう少し具体的に言えば、担当者に予測を任せるのであれば、その担当者には、「曖昧な情報(会社の事業プランなど)から、実際に発生する取引について想像し、経営者や他の部門とコミュニケーションを取りながら数字に落とし込む」という事が出来るスキルが求められます。

また、取引について理解するだけの基礎知識も必要となりますし、入金先の経営安定度や支払態度について分析する能力も必要です。

これらは、単なる経理のスキルを超えたものであり、かなり高度な能力であると言えるでしょう。しかし、資金繰りの為には、経営者と担当者との間で役割分担して、こうした業務を実現させる必要があります。

資金繰り体制構築の難しさ

こうした内容を確認して頂くと、会社を潰さない為の「資金繰り」が、いかに難しいものであるかを理解して頂けるのではないでしょうか。また、求められる能力を考えると、人材面で不安を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そして、その不安は、勿論、間違いではないのです。それが、「資金ショートを確実に防ぐ事が出来る資金繰り体制を築く難しさ」なのです。

実際、しっかりとした経理部門がある会社であっても、リスク管理という観点で改めて調べてみると、問題が見つかる(十分な水準では資金繰り業務が出来ていない)ケースは少なくありません。

現金(資金)不足で潰れない為の体制をチェックする

ここに、自社の「資金ショートを避ける為の体制」の水準について確認して頂く為のチェックリストを用意しました。

自社の対策を見直すきっかけにして頂ければ幸いです。(内容に不明点がある場合は、この連載の関連記事を参照して下さい)。

当面の日々の現金残高がプラスである事が予想出来ているか(期末時点ではなく、期中にもマイナスにならない事)
出費の予測にあたっては、会社が今後発生させるかもしれない出費も考慮出来ているか
個々の入金予定について、減額となるリスクを十分に反映させて数字管理をしているか
資金繰りの担当者は、業績の数字と現金変動の違いについて十分に理解し、それを踏まえた数字管理が出来ているか
資金繰りの担当者は、取引先の支払い能力(経営状態)や支払態度を把握し、その上で入金リスクを検討出来ているか
資金繰りの担当者は、自社の事業や取引の中身について理解し、それらを踏まえて数字管理が出来ているか
資金繰りの担当者には、(予測の変更に繋がる可能性のある)事業計画の変更などの経営情報が十分に伝わるようになっているか

資金繰り体制構築のすすめ

「自社の体制は十分ではない」と認識された場合には、ぜひ、この機会に改善に取り組んで頂きたいと思います。それが、将来のリスクを摘み取り、会社を危機的な状況から救う事に繋がるでしょう。

勿論、自社だけで取り組む自信がない場合には、最初の仕組みの構築の部分だけでも、社外の専門家に依頼するのもお勧めです。

特に、社員の能力育成が必要と判断されている場合には、外部の力を借りて業務を始めつつ、社員のスキルアップを行った方が、スムーズな導入が可能となるでしょう。

また、資金繰りの改善の為に、既存の計画を見直す際にも、外部の専門家の存在は大きいように思います。自社の管理部門と経営者では、立場があまりに違う為、高度な議論は成り立たないケースが多いようです。しかし、こうした問題は、外部の専門家と経営者が議論する事で、解決する事が出来ます。

この連載では、関連記事にて、こうした問題への対策についても紹介させて頂いております。宜しければ、それらの記事もご一読下さい。

なお、当社では、様々なビジネスコンサルティングに関するサービスの一環として、こうした「事業継続のリスクに対応する体制整備」についても支援させて頂いております。