売上アップの基礎(補足1)
~分析が対策に結びつかない場合のヒント~

売上が獲得出来ていない理由の整理が自社なりに出来ているにも関わらず、売上の対策に結びつけられないケースがあります。こうした状況を改善する為のヒントを2点ご紹介します。

この連載では、既存事業の売上改善(売上アップ)で悩まれている場合は、まず、「自社が取れる可能性があった全売上のうち、どのような売上を獲得出来なかった結果として、今の売上になっているのか」という点について整理する事をお勧めしました。

しかし、商売が複雑で整理がうまく出来ないようなケースのほか、「自分なりに整理は出来たにも関わらず、対策にうまく結びつかない」といった相談を受ける事があります。

この記事では、こうした状況を改善する為のヒントを2点、ご紹介します。類似の状態で悩まれている場合には、参考にして頂ければと思います。

売上アップ対策の検討を改善するヒント①(売上の絞り込みの段階を細かくする)

まず、数字の整理は出来ているにも関わらず、対策に結びつかない場合、
自社の売上の整理が、未だ荒すぎる
という可能性があります。

対策を挙げる為には、対策に対応するレベルにまで原因が具体的に絞り込まれている必要があります。こうした可能性が疑われる場合には、
自社の売上を更に細かく整理する
という対策を試してみる事をお勧めします。

この記事の前編でも使った「お祭りの屋台」の例を、ここでも利用してみましょう。

この例では、「お祭りの来場者の内、自店舗の前を通る人が使う飲食予算の合計」が獲得出来る可能性のあった総売上でした(通過者の数×各人の飲食予算)。

そして、そこからスタートすると、まず、「自店舗の顧客に出来なかった人」が発生して売上を取り損ねる事で、実際の自社の売上に繋がっていきました。

ここまでの記事では、この「人」の点について、
「自店舗の前を通った人」を、「自店舗の顧客に出来た人」と「自店舗の顧客に出来なかった人」
に分けて整理しました。

しかし、これで対策がうまく挙がらない場合には、更に細かく整理し、例えば、
「自店舗の前を通った人」を、自店舗に「関心を示してくれた人」と「関心を示してくれなかった人」
「関心を示してくれた人」の内、「実際に自店舗で買ってくれた人」と「買ってくれなかった人」

といった2つの段階に分割してみる事で、検討が進む事があります。

なお、更に細かく整理すると、
同じく「自店舗の前を通った人」は、自店舗のメニューなどが載っている看板などを「目にした人」と「目にしなかった人」
看板などを「目にした人」の内、「関心を示してくれた人」と「関心を示してくれなかった人」
「関心を示してくれた人」の内、実際に「自店舗で買ってくれた人」と「買ってくれなかった人」

といった3つの段階にも分割する事が出来ます。

このように、分割が細かくなるほど、対応する対策も見つけやすくなるはずです。もし、自分なりに整理したにも関わらず、適切な対策が見つからない場合には、こうした手法の活用も検討してみて下さい。

売上アップ対策の検討を改善するヒント②(売上の絞り込みの切り口を変える)

もう一つの対応方法は、
自社の売上の絞り込みに用いる切り口を変える
というものです。

同じ例で考えてみましょう。先ほどの例では、
自店舗の前を通った人の関心がどのように推移した結果、自社の商品が購入されたのか
という視点で分析をしています。

こうした視点は大切であり、かなり一般的であると言えるでしょう。多くの場合、こうした視点は対策の発見に役立ちます。しかし、こうした整理で何も見えてこなかった場合、この切り口を切り替える訳です。

今回の例では、これ以上に有益と思える切り口を挙げる事は難しいですが、それでも、考えてみることは出来ます。

仮に、自店舗が提供するメニューを検討した結果、ラーメンを選んでいたとしましょう。
この場合、
まず、自店舗の前を通った人の内、ラーメンを食べようと考えていたのは、どれ位の割合なのか(他のメニューに流れた層を意識)
次に、自店舗の前を通ったラーメンを食べようと考えていた人のうち、自店舗を選んでくれたのは、どの位の割合なのか(自店舗が提供しているメニューにも関わらず、他の店舗に流れた層を意識)

といった2段階で、自店舗が獲得出来ている売上を整理する事が出来ます。

こうした視点で分析を行った場合、
ラーメンというメニューを選んだ事が間違いであった(ラーメンを食べようと考えていた人が少なすぎた)
ラーメンというメニューの選択自体は問題なかったが、ラーメンでは強い競合が多すぎて勝てない(ラーメンを食べたい人は、自店舗を選んでくれない)

などの分析結果を導き、対策に繋げられる事もあるでしょう。

売上を整理する切り口が見つからない場合のヒント

このような検討手法について理解は出来ていても、売上を整理する為の「切り口」が見つからない場合があります。そうした場合のテクニックについても1つだけ紹介しておきます。

それは、とにかく、「数字を集計してみる」ことです。例えば、ここで使っている例のようなケースであれば、「年齢」「性別」「客単価」「時間帯」「商品種別」など様々な項目で集計が出来るはずです。

そうした作業を行う事で、現在の売上の特徴について気付く事が出来る場合は多いでしょう。そして、その発見が売上を整理する為の切り口を見つける事に繋げられる場合もあります。

ただし、一つ注意しておきます。このような手法を紹介すると、「最初から、この様々な数字を集計するという方法だけを用いて、売上対策の切り口を見つければ良い」という意見に出会います。しかし、その意見には、あまり賛成出来ません。

例で説明します。例えば、売上データを分析すると、「高年齢者の売上が若者よりも低い」という結果が出たとしましょう。それだけを聞くと、「高年齢者の売上をアップさせるような対策を取るべき」という意見が出てもおかしくありません。しかし、それは早計です。

もし、「高年齢者が自店舗で扱っている商品に関心があり、自店舗を知ってくれた高年齢者は購買してくれる傾向がある」という事が解っていれば、確かに、「高年齢者に認知して貰う為の対策を考える事は正しい」と言えるでしょう(老眼でも見やすい看板などが必要なのかもしれません)。

しかし、実は、「高年齢者には、自店舗の商品は合わない」という事実が隠れているのかもしれません。この場合、高年齢者向けの対策を検討するよりは、最初から購買意欲のある層に向けた対策を考えた方が良いケースが多いでしょう。

単純な数字の集計だけでは、こうした問題点については気付きづらいものです。ですから、こうした手法に頼りすぎるのはお勧め出来ないのです。

適切な売上の整理が切り開く自社の未来

この記事では、2つの改善方法を「うまくいかない時の為の対策」として紹介しました。しかし、本当は、これらの見直しは、そういった場合以外でも継続的に試してみて頂きたい事なのです。

この連載で紹介している「自社が取れなかった売上を意識する」という方法は、逆から考えると、「自社の売上がなぜ獲得出来ているのか」という理由を考える作業になります。

そして、「自社の売上が獲得出来ている理由」は時と共に変化します。この為、過去に行った分析結果に満足するのではなく、常に、様々な可能性を踏まえて分析を行い続ける事は大切なのです。

勿論、こうした事を日頃から行う難しさは私達も理解しています。しかし、定期的に、「様々な視点を持ち込み」「冷静に」「過去に捕らわれずに」、こうした見直し作業を行う事をお勧めします。それが、自社を成長させるステップを見つける事にも繋がるでしょう。

自社だけで、こうした作業を定期的に行うのが難しければ、外部の専門家を入れて、定期的にこうした作業を行えるようにスケジュール化してしまう事もお勧め出来ます。

この連載では、関連記事にて、売上改善の為の分析をより適切に行う為の情報についても紹介させて頂いております。宜しければ、それらの記事もご一読下さい。

なお、当社では、様々なビジネスコンサルティングに関するサービスの一環として、こうした「売上改善の為の分析」についても支援させて頂いております。